おすすめ本(理解と実践のコツ)|『ティール組織』フレデリック・ラルー著
マネジメント・チームビルディングについてスキルアップする上で、押さえておきたいポイントがこの本に含まれています。組織そのものに進化や発展の段階があること。そして、いま最も新しい部類に入る組織形態が「進化型(ティール)組織」であること。
「このスキル・考え方はどの組織段階で使えるものなのか?どれにも該当する一般的なものか?」
「自分の価値観や考え方はどの組織段階が近いか?そして今いる組織はどれに近いか?」
マネジメントレベルを上げるために、この問いを持ちながらものごとを見られるようになると、成長速度が加速します。
それらの知見を得られることから、『ティール組織』は組織づくり・マネジメントについて学びたい方にオススメの本です。以下、簡単ではありますが、理解するためのコツをご紹介します。
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ティール組織を理解するためのコツ
以下の3つの考えを押さえておくと、読書時に理解が促進されるのではないかと思います。
- 組織は生き物である
- 人は考える生き物である
- 組織は進化する
組織は生き物
生き物であるということは、機械やシステムのような人工的なモノではないという前提にたっています。その違いは、組織を創った人が決めたルールや設定に従って動くものではないということです。誰かが決めたルールや設定に従って全体を動かそうとすることによって二つの弊害を生じます。一つ目はルールや設定に従わされる立場の人に心のひずみが生じること、二つ目はルールや設定にないものは動けないということです。
組織を生き物と捉えると、一番大きな違いは活動をコントロールしきれないことです。全ての細胞に意識下で指示を出し、呼吸をしている人はいないでしょう。血液を運ぶために心臓を毎回毎回動かしている人はいないでしょう。呼吸や血液循環以外にも人の身体では同時にものすごい数の処理が行われています。さすがに全ての活動を顕在意識で動かしていては身が持ちません。
だから、構成する要素たる組織の一人ひとりを無理にルールや設定で押さえつけ(すぎ)ず、一人ひとりが個々の事案を自分で考え処理することを許容しましょう。という前提がティール組織の理解に重要です。
人は最善策を考え実行しようとする
難しく言い過ぎているかもしれません。シンプルに言うと、組織のメンバーを性善説に立ち信用しましょう、ということです。人は誰もが、その場その場で起こっている問題に対して、本人なりに最善の解決策を導こうとします。それを性善説に立ち信用し、社員の考えたアイデアをその社員本人にやらせましょうということです。そうはいっても成功率100%というわけでないことは認めます。でもそれだったら、間違っていたと分かった瞬間に修正すればいいのです。
性善説に立ち信頼と信用をベースに組織を創ると、メンバー全体の気持ちが前向きになりパフォーマンスが上がります。逆もまた然りで、これまでのシステム・仕組みづくり志向で創られた組織は自然と不信感や不満・不安がたちこめてしまいます。
組織は進化する
先に述べた二つのポイントから自然と言えることですが、組織は状況に適応し進化していきます。無意識下で、今持っていないけど必要だと思うものは持つように適応していきますし、今不要になってしまったものがあれば小さくしたり無くしたりします。一つ一つのアクションを見ると失敗しることもありますが、最終的にはそれを修正し対策を打ちます。その進化の流れを妨げない組織を創ることが重要なのです。
ティール組織を創る時のポイント
『ティール組織』を読んで、同じような組織を作りたいor今の組織を変えたいと思う方も多いことでしょう。その際、以下のようなポイントに注意しましょう。
新しい考え方は受け入れられる人が限られている
一般論かと思いますが、これを蔑ろにすると苦しみます。組織を機械やシステムのように考えることを最善と考える上司や経営者のもとではティール組織は作れません。また、採用においても、いくらスキルフルで自分の業界に精通していたとしても、ティール組織の考えを受け入れられない人が入社してしまうとカオスになります。仲間選びが非常に重要です。
もう少し先の時代では、ティール組織のような考え方に社会的認知が出来ている可能性があります。その頃になれば、もう少し仲間選びの難易度は下がってくるのではないかなと勝手に思っていたりします。
意思決定のルールを整備しておく
目的は、ティール組織であり続けるためです。新しいメンバーがティール組織で働くことを覚えるまで、本人の過去の経験に引きずられてしまうと以前の組織フェーズの仕事をしてしまうかもしれません。また、2010年代後半の時点で社会に浸透していないことが理由で、トラブルが発生したときに旧段階の意思決定プロセスに戻すべきという圧力が社外から強く掛かってきます。ときに社内からかかることもあります。その時のためにも、断固たる決意として、意思決定のルールを設けておくべきなのです。
業種や職種は関係ない
「うちの業界はこういうの合わないと思う。」「自分の職種では難しいかなあ…。」人はやたらと自分の属する業界や職種を特別にしたがります。もし、『ティール組織』 を読んでもそう思ってしまうなら、もう一度読み返してください。業界や職種に不向きなものを見つけられなかったと書いてあります。そして、読んでいない方は、読んでから判断されたほうが賢明です。どちらかというと、いま所属する組織が進化の段階にあてはめるとどこにいるか?の方が導入難易度に影響するのではないかと思います。それは、共感してくれる人がたくさんいるかいないかの目安になるから?かもしれません。
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(18/8/14追記)日本企業が実務で使う方法
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ホラクラシーの導入実績ならびに導入支援実績がある方の著書です。そしきにどんな役割を置くべきか?どうやって日々のコミュニケーションを取ればいいか?などティール組織構築を経験した人だからこそ持つ示唆が散りばめられています。